TOPスタッフ日記都公立中“単願”受検の危うさ

2016年02月22日 月曜日 都公立中“単願”受検の危うさ     ( スタッフ日記 )

人気が続く都内の「公立中高一貫」受検の今年の入試結果が出揃いました。

都内のある公立中高一貫校の合格状況について速報をお届けします。学校への聞き取り調査に基づく数値です。調査に協力いただいた学校との約束により、学校名は公表できません。

港区全体からの出願者30名、同受検者29名、同合格者3名という結果でした。

これは全ての学習塾、家庭教師、通信教育、自学自習を合わせた数値です。

合格者はたったの3名という数値を、あるいは29名のうち不合格が26名という数値を、どのように受け止められたでしょうか?

「受検料が安く、入学金や授業料が地元公立中や都立高校とおなじ」ということで、お気軽感が強いかもしれませんが、合格するのは容易ではないのです。

また、「報告書点数(%)と合格率の関係」(注)も明らかになりました。報告書点数が満点の場合の合格率は、女子では約50%、男子では約60%で、報告書点数が高くても合格は確実なものとはなりません。しっかりとした受検対策が必須であることがわかります。

一方で、報告書点数との関係では、女子は90%を下回ると、男子は80%を下回ると、合格率は20%を下回ります。これは逆転合格もまた極めて難しいことを示しています。ちなみに、女子で報告書点数(%)が80%を下回ると、合格率は約5%以下になってしまいます。

一部の公立中高一貫校では、「『報告書(内申)』の点数が良くなくても、合否判定に占める割合は高くないので、本試験で頑張れば合格する可能性がありますから、ぜひ受検してください」などと保護者の質問に答えていますが、これは入試倍率を高く維持するために受検生を集めたいという意図からの発言ですので、そのまま文言通りに受けとめてはいけません。

さらに、「適性検査試験の正答率と合格者の関係」(注)では、女子の場合は80−85%以上の正答率でほぼ全員合格、男子は75−80%以上の正答率でほぼ全員合格となっていて、いずれも70%以下では合格者がほぼいません。

記述式の入試問題で75%以上の正答率というと、受検生の感覚としては約90%正解できたという感触に近いと言われています。また、80%以上の正答率では、ほぼ満点かなという感触が必要だろうと言われています。

お気軽受検で合格するのは難しいのです。

本試験との比較で比率は低い(学校により20−30%)ものの、「報告書」点数で「ほぼ満点」を獲得できるよう小学校の普段の授業に真剣に取り組み、かつ入試本試験対策もしっかり積んだ者だけが手に入れることができるのが、「公立中高一貫校」合格の栄誉なのです。

ちまたに溢れる「公立中高一貫校・合格ノウハウ本」のほとんどは、都内の公立中高一貫入試では参考になりません。むしろ誤解をまねく恐れがあるものが少なくありません。

近年、入試難易度が国立の東京学芸大学付属やお茶の水大学付属などに肉薄するようになり、もはや地方の公立中高一貫の多くとは別のカテゴリーで語られるべき存在になっています。

開校時の約10年前は都立2番手や3番手高校と同じような難易度でしたが、現在は日比谷高校などの都立1番手校に迫る難易度の学校も出てきています。今や、勉強がやや得意なくらいの人が挑戦しても、合格はほぼ無理なのです。また、試験問題に慣れるという程度の対策では歯が立ちません。私立中受験と同じように、小学校の低学年・中学年から、算数・国語・理科・社会の4教科に、しっかりとした対策が必要です。

公立中高一貫“単願”受検で不合格になると、地元の公立中学へ進むことになります。

保護者には耐えられても、お子様には耐えられない屈辱かもしれません。

「○○受けたけど、落ちちゃって。。」

抽選を行っている学校の入試の抽選に落ちた場合は、人に話しても「あら、残念でしたね」で済むかもしれませんが、抽選を行っていない都公立中高一貫では通用しません。わが子の学力不足を宣伝するようなもので、賢明な発言とは評価されないでしょう。学力に関係なく出願できるので、受検したこと自体は何らかの能力の証明にはなりません。

受検(受験)に失敗したという事実は、生涯消すことはできないのです。

私立中を併願して合格を勝ち取っておけば、完敗して地元中学へ進むという状況を回避できます。合格した私立に進む必要はありません。選択肢がなく止むを得ず地元公立中に進むのと、合格した学校があるのに自らの意思で選択して地元公立中に進むのは、その意味が全く違います。

○:合格したけど、通学に時間がかかるので辞退し、地元中学に進むことにした。

○:合格したけど、友だちと一緒に通えないのが寂しいので辞退し、地元中学に進むことにした。

×:全て不合格になったので、地元公立中学に進まざるを得なかった。

完敗は、受験生の自己肯定感や自己有能感を著しく損ねる恐れがあります。中学受験(受検)以降も続く長い人生に悪影響が出ないとは言い切れません。

「都立中学受検に失敗したら、都立高校受験でリベンジすれば良い」という考え方には賛成できません。復讐がモチベーションの受験生活になります。勉強は復讐のためにするものではありません。適切でポジティブな動機で勉強しましょう。

わが子を「競馬の競走馬」のように弄(もてあそ)んではいけません。

適切な併願戦略をお勧めします。


注)聞き取り調査をもとに弊社で推計した値です。

 

 

三田学院

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