TOPスタッフ日記【都立中】世界史「ペルシア戦争」

2024年04月22日 月曜日 【都立中】世界史「ペルシア戦争」     ( スタッフ日記 )

イスラエルとイランの軍事衝突を懸念する報道が相次ぐ中、ギリシアとペルシアの闘いを描いた映画「300(スリー・ハンドレッド)」が民放で放送された。少し遅れて気がつき途中から視聴したが、描かれていたのは、最終的にはギリシアが勝利したペルシア戦争において、ギリシアが歴史的敗北を喫した「テルモピュライの戦い」(テルモピレーの戦い)であった。

ギリシアのスパルタ王レオニダス1世がわずか300人の手勢で、アケメネス朝ペルシアの第三代王ダレイオス1世の後を継いだ息子クセルクセス1世が率いる大軍(一説では100万人の大軍とも語られているが少し大げさでおそらく数万人から数十万人くらいの軍勢ではなかったかと推察する)を相手に奮戦し全滅するまでの様子が描かれた映画だが、とにかくペルシア(イラン)側を獣のように醜く描いていることが印象に残った。映画が放映された西側先進国の映画ファンにはさぞかし心地よい内容であったに違いない。

ギリシアもペルシアも一枚岩ではなく、この後アテネとスパルタはペロポネソス戦争で覇権を争ってギリシアは衰退し、クセルクセス1世はペルシア戦争の最中に側近に暗殺され、その後マケドニアのアレクサンドロス大王に敗れてアケメネス朝ペルシアは滅亡する。

大学入試世界史の参考書や資料集や問題集などでは必掲のぺリシア戦争だが、「テルモピュライの戦い」まで詳しく扱っている参考書は少ない。おそらく、ギリシアがペルシアの侵攻を撃退し、ギリシアの民主制がペルシアの専制に打勝ったことを説明したいがために、あえて「テルモピュライの闘い」についてはふれない方針をとっているのではないかと推察している。しかし、ペルシア戦争の全貌を知る上では「テルモピュライの戦い」は知っておいた方がよい。

「テルモピュライの戦い」を簡潔に説明している世界史の通史を扱う参考書としては以下がお勧めである。

・「図解中心 世界史の整理」岡田功著、三省堂

予備校講師のおススメ参考書にはまず入らないが、1冊で世界史の通史をカバーし、内容の省略が少なく、簡潔で読みやすい、通が好むであろう良書である。値段も1,300円+税と良心的である。

予備校講師がお勧めするのは、シリーズで4冊とか6冊あるのものが多いが、この本は1冊で完結していて、多教科を攻略しなければならない国公立大学受験生には特にありがたい参考書となる。1冊でこれほど詳しい参考書はみあたらない。強いてもう一冊を紹介するとしたら以下になる。どちらか1冊で十分なので好きな方を選ばれたし。

・「大学入試 茂木誠の 世界史Bが面白いほどわかる本」茂木誠著、KADOKAWA

関連ノートもあるので、一緒に使うと整理しやすい。

・「改訂版 ひと目でわかる 茂木誠の世界史ノート」茂木誠著、KADOKAWA

どちらも「共通テスト世界史」で高得点を獲得することに対応する。詳しさでは岡田に軍配が上がるが、読み易さでは茂木に軍配が上がる。茂木の解説はやや右よりなので、左よりの説明が心地よい受験生は「実況中継」シリーズの方がよいだろう。岡田は中立である。岡田の説明は淡々としていて個人的には心地よい。淡々とているがゆえに世界史的思考の広がりを妨げられることがない。

岡田は準拠ノートの出版がないが、ノートは多くの出版社から数えきれないくらい出版されているので、使いやすいどれかと組合わせればよい。ベストは自作することだ。自作こそ最強である。

いずれにしても、用語集や資料集や一問一答なども併用しないと、完璧には仕上がらないことは覚悟しておくべきである。

並行して問題集を解いて行くと、より理解が深まるばかりか、完成度も上がっていく。

<MARCHレベル>
・「関東難関私大世界史問題集」山川出版社

<早慶レベル>
・「慶應義塾大学入試対策用世界史問題集」山川出版社
・「早稲田大学入試対策用世界史問題集」山川出版社

「慶應義塾大学入試対策用世界史問題集」では、経済学部で出題された「ウクライナ史」に関する問題が掲載されているが、この問題が秀逸なので解いておくとよい。

問題文の中でウクライナの歴史についての詳しい記述があり、ポーランドの支配下にあった時期のウクライナで、キエフを通って流れるドニエプル川の左岸(下流に向かって左りの岸、ここでは川の東側)がロシアの勢力圏になった経緯が書かれていて、この部分は山川などの世界史教科書より詳しいばかりか、難関大学向け世界史参考書よりも饒舌にウクライナの歴史を語っている点が興味深い。これに関しては大学受験向け「地理」の参考書にも「ドニプロ工業地帯」や肥沃な土地「チェルノーゼム」との関連で記載されることがあるが、いずれも慶應義塾大学の世界史の入試問題文の語り口にはかなわない。

この慶應大学の世界史入試問題を解いておけば、

・なぜロシアはウクライナ東部4州を占領し続けるのか?
・なぜポーランドはウクライナを全面的に支援するのか?
・この紛争の妥協点(休戦や停戦ライン)はどこなのか?

などが分かるであろう。

加えて、地理と一緒に学べば、交戦初番の「マリウポリ」のアゾフターリ製鉄所を巡る戦いがなぜ熾烈となったのか、軍事的には要衝ではない「バフムト」を巡る攻防にウクライナもロシアも兵力を集中させたのかも理解できるであろう。

トルコとロシアの交戦の歴史までを関連づけることができれば、「トルコのエルドアン大統領」が「停戦仲介」に意欲を見せる背景も理解できるであろう。

とにかく世界史は、教科書は全部読みました、授業全部聞き終わりました、大学入試参考書最後まで読みました、といった程度ではしっかりと理解することは難しい。良問による演習を繰り返しながら、いろいろな視点から考察することで理解が深まり、結果として、得点力が上がり、成績が安定する科目である。

このため、真面目に時間をかけて真剣に受験勉強する覚悟がない受験生には世界史は向かない。おそらく覚悟がない受験生は世界史を選ばないだろう。

尚、今回紹介した参考書や問題集は難関大学受験生向けなので、そうでない大学を目指す受験生は取り組まない方がよい。途中で挫折する可能性が高い。

また、東京大学(文科類)や一橋大学(全学部)や筑波大学(社会科選択)は、二次試験における世界史がほぼ記述式問題となるため、今回紹介した難関私大向けに追加で特別な対策が必要になる。気が向いたらいつかご紹介したい。


<お知らせ1>
・「完全無料!受験よろず相談会!」を実施します。

*詳細はトップページからご確認ください。
*今後は『有料化』を予定しています。

<おしらせ2>
・久々に「都立中チャレンジコース」による募集をします。

*今年度は初めて小6も募集対象にします。
*詳細はトップページからご確認ください。

<おしらせ3>
・「資料請求」と「お問い合わせ」はご遠慮いただいております。


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