TOPスタッフ日記【都立中】何が中学受験を過熱させるのか

2023年07月18日 火曜日 【都立中】何が中学受験を過熱させるのか     ( スタッフ日記 )

何が中学受験を加熱させているのだろうか。

メディアでは、近年の中学受験過熱の背景には、新型感染症拡大への対応で公立学校への信頼が低下したからだという論調が多い。

しかし、中学受験の過熱は、新型感染症の拡大以前から始まっているので、これを根本的な要因とするのにはムリがある。

もちろん、新型感染症の拡大が過熱を助長した一因となったことは否定しないが、もしそれが最大の要因なら、今後は中学受験の過熱は沈静化することになるはずで、その兆しがない現状では、他に要因があったと考えるのが妥当であろう。

中学受験が盛んな地域は首都圏だけではない。

伝統的に、北部九州や関西圏の一部などでは、ブームとは別に中学受験が盛んである。今もその傾向には変わりがない。

一方で、国内の多くの地域では中学受験は盛んでなかったし、今も盛んだとは言えない。もちろん、盛んでない地域では、解消できない通学上の事情もある。

中学受験をするかしないかを早くから意思決定している層もいることは承知しているが、全体としての最終判断は小学校入学後であることが多いことから、判断は小学校入学後の何らかの事情を踏まえてのことだと考えるのが妥当ではないだろうか。

子に中学受験をさせようとする保護者の本音を聞いていくと、表面的な要因とは違う、ある意思決定要因があるように感じられる。

1.教育熱心ではない家庭の子と、おなじ学校に通わせることへの抵抗感

2.公立学校での生きづらさを感じるような状況から逃れたいという強い気持ち

教育熱心な家庭の場合は、2.は、1.と同じになることがほとんどだが、それとは別の事情の親子が、2.には含まれる。

それは多様性の傾向が強い子とその保護者である。特に顕著になってきているのは、発達に特性がある子とその保護者である。

文部科学省が2022年に公表した調査結果では、普通学級に通う生徒のうち、知的発達に障害のない発達障害の児童は10.4%とある。この約10%超というのは、普通学級に通う生徒だけの比率であり、かつ、学習障害を伴わない児童だけの比率なので、全体での発達障害をかかえる児童の比率は、これよりさらに多いと考えるべきであろう。

近年この発達障害をかかえる児童の比率は増加傾向が続いていて、これに並行して小学校教員(多くは公立小学校教員)の成り手不足が深刻化してきている。特別支援教育が専門ではない教員にとって、この発達障害を抱える児童の指導は容易ではないことが影響している可能性がある。小学校算数や小学校国語の教員免許しか持たない教員に、発達障害児童の教育も担当させることには、そろそろ限界がきているのではないだろうか。

発達に特性がない子と保護者にとっては、発達の特性が強い子がクラスや学年にごく少数いるだけで、クラスや学年が荒れたり崩壊したりするので、期待通りの教育が受けられないことを懸念する傾向があり、そうした状況から逃れるたいということも、中学受験を志向する要因となる。

一方で、

発達に特性がある子と保護者にとっては、子が仲間ハズレやイジメの対象となりやすいことや、公立学校の教育内容が発達の特性に十分配慮されていないという不満や、内申点重視の高校入試への不安などが、中学受験を志向する要因となる。

適切な表現が何かは判断が難しいが、あるグループは別のグループから逃れるために中学受験を選択しながら、別のグループもまたあるグループから逃れるために中学受験を選択するので、お互いに逃れるつもりでありながら、お互いにまた鉢合わせするリスクをはらんだ意思決定になっているのである。

名前を明らかにするつもりは毛頭ないが、ある有名私立中高一貫校などは、この発達に特性のある子の比率が高いと言われている。もちろん学力的にはハイエンドになるので、どちらかと言えばギフテッドに分類される子が多いのだろうが、発達に特性があることには変わりない。

このため、中学受験をして進学校に入学さえすれば発達に特性がある子から逃れられるということには必ずしもならないし、中学受験をして進学校に進めば仲間外れやイジメの対象にならないということにも、必ずしもならない。

中学受験率の高まりから、多くは中堅校やより平易な私立中高一貫校に進むことになるが、すべてではないにしても、こうした学校の中には発達に特性がある子の駆け込み寺のようになっている学校があることも、知っておくべきだろう。

私立中高一貫校とは別に公立中高一貫校があるが、これらの多くは、「報告書」点と高難易度な記述問題である「適性検査」の得点で入学者が選抜されるので、入学試験の当日の学力試験の成績だけで合否が決まるケースがほとんどの私立中高一貫校とは、根本的に事情が異なる。

無用な誤解を与えたりしないように、具体的にどう違うのかをここで書くつもりはないし、聞かれても答えるつもりはないが、気がついている人は気がついていて、特に、難関進学校型の都立中などでは、そのことが人気を集める理由の一つにもなっている。

どの進路を選択するかは、受験生とその保護者の自由ではある。しかし、己の事情や都合ばかりに注目していると、思わぬ足のすくわれ方をするかもしれないので、注意深く進路を選択すべきであろう。


=お知らせ1=
鹿児島県立楠隼中学校は、2026年度からの共学化や高校募集停止などが検討されることとなり、今後の難易度が正確に予想しづらいため、「楠隼中合格コース」では新たな募集を行わないこととし(本年度における小4以下)、代わりに「都立中合格コース(富士・白鴎・その他公立中高一貫校ターゲット)」において、楠隼中の受検を希望する受検生(本年度の小4以下)の募集を行うこととします。

尚、今年度の小5については、すでに「都立中合格コース」と「楠隼中合格コース」の募集は小5の6月で終了していますが、キャンペーンにより「小5都立中チャレンジコース」(都立中第一志望と、都立中第一志望の楠隼併願)と「小5楠隼中チャレンジコース」(楠隼中第一志望の楠隼単願)を立ち上げて、小5の10月まで募集を継続します。ただし「小5楠隼中チャレンジコース」については10月末より早く募集を終了する可能性があります。

*楠隼高校募集停止を見越して、事前に楠隼中への受検希望者が増えるリスクを排除できないため、移行期間に該当する現小6から現小4は、難易度を正確に予想することが難しくなっております。ご理解とご協力をお願いします。

*また、共学化により優秀な女子受検生の参戦が始まりますと、男女別の募集になるのか、男女混合での募集になるのかにもよりますが、2026年度以降の合格ボーダーが上昇するリスクもあります。

=お知らせ2=
体験授業をご希望されます方は、PC版トップページの「インフォメーション」→「体験授業・学習相談」→「体験授業のお申込方法」を、事前にご確認いただいてから、ご連絡をお願いします。

=お知らせ3=
9月1日からの受講スタートをご希望される方は、8月のお盆前までに「体験授業」をお済ませください。

=お知らせ4=
「教室案内」のチラシを「教室の入口ドアの外面に置く」ことにしました。ご自由にお持ち帰りください。ドアノックやインターホン呼び出しの必要はありません。

=お知らせ5=
こちらからの返信メールにお気づきになられない方が多いようです。いつもはご覧になられていないホルダーなども、ご確認くださいますようお願いします。


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