TOPスタッフ日記【通知表】オール3は「平均」「普通」ではない(2)

2016年10月11日 火曜日 【通知表】オール3は「平均」「普通」ではない(2)     ( スタッフ日記 )

オール「3」は「平均」や「普通」ではない。以前の日記で書いた。

しかし、「東京都教育委員会」発表の数値はもっと恐ろしい!

都内公立中学校の5段階評価の分布データだ。

・5教科(英数国理社)の「3」以上の割合が81.9%
・4教科(音美体技)の「3」以上の割合が88.7%
・9教科の「3」以上の割合が84.9%

つまり、オール「3」は成績下位から約15%に入っている可能性すらあるのだ。

オール「3」は「平均」や「普通」ではない、という表現では甘いくらいだ。勘違いしていると、高校受験で痛い目に合うことになる。

偏差値が53の旧第一学区の都立雪谷高校を例にとってみよう。有名模擬試験会社のデータによると、合格者(女子)の5教科内申素点合計は「20.2」だ。平均すると「4」以上だ。つまり、入試(5教科)偏差値50を少し余裕をもって超えようと思えば、5教科の内申平均で「4」が必要なのだ。逆算すると、オール「4」が学力平均(偏差値50)に近いということだ。

では、同じように5教科内申素点平均が「3」に近い都立高校を探してみよう。旧第二学区の都立深沢高校(女子)が合計「14.0」で「15(3×5教科)」に近い。偏差値は「39」だ。

5教科「オール3」の「偏差値約40」は、学力平均の「偏差値50」より約1標準偏差(1σ)ほど下方乖離している。これは偏差値の公式から導ける。密度関数(積分による累積分布)より、±1σの範囲には全生徒の約68%が入る。片側1σだとその半分の約34%の生徒が入る。偏差値40は平均の50より約34%の人数分低い。平均(μ)を境に片側に50%の人数が分布するから、偏差値40(平均「オール3」)よりも成績が悪い人は約16%(50%−34%)となる。この数学的に求めた分布の約16%は、東京都教育委員会の5段階評価の分布における「2」と「1」の合計である約15%と一致する(1%未満は端数を切り捨てたための誤差)。つまり、オール4が学力平均に近いと分かる。尚、女子のデータを使って計算した結果である。男子は女子より内申素点が若干低い傾向があるので、平均の位置は「3.8」付近ではないか。

都立高校全体で探してみても、オール「3」で合格が見込める普通科高校はわずかしかない。

つまり、「オール3」で都立高校に進みたいなら、不人気職業科の一部や定時制などに限られてくる。人気のある職業科も難しい。普通科を目指すなら、低偏差値私立高校を「単願」受験するというのが現実的な進路選択になる。

私立「単願」は「推薦入試」の形式を採るが、低偏差値私立高校は実質無試験全員合格させる。内申基準はあるが実質無試験なため、勉強嫌いな生徒にとって「甘い誘惑」になる。定員割れを防ぎたい不人気底辺私立校にとっては授業料を払ってくれる大切なお客さんだから「甘い匂い」を振りまいて生徒を集める。「推薦(単願)」合格者の比率が高い低偏差値私立は注意が必要だ。それなりの生徒しかいない可能性が高い。中退率も高いところが多い。

「オール2」以下は高校進学は難しい。定員割れしている底辺の私立高校ですら、ほぼ受入れてくれない。無試験の「通信制高校」なら入れるだろうが、卒業は難しい。いずれ中卒(高校中退)が確定することになる。

対して、都立トップ校の数値も恐ろしい。

偏差値69の日比谷高校合格者の5教科内申合計は、男子24.6、女子24.7
偏差値68の戸山高校合格者の5教科内申合計は、男子24.1、女子24.4

いずれも受験教科はほぼオール「5」だ。

偏差値64の両国高校合格者の5教科内申合計は、男子24.0、女子23.3

これもオール「5」に近い。

恐ろしいことに、不合格者の内申合計も、合格者とほとんど変わらないことだ。内申が同じような生徒同士が、本試験の点数で競い合うのが都立高校入試だ。内申で合格ラインを超えていないのも論外だが、本試験対策をしないのは、さらに論外だ。受験対策が合否を決めているのだ。適切な本試験対策を自力でできる生徒はいない。

定期テストで高順位だからと受験対策をしっかりしないと不合格になる。内申に胡坐(あぐら)をかいて、高校受験塾に通わない人がいる。そうした人は例外なく受験に失敗する

定期テストの問題と入試の問題は全くの別物だからだ。中3なら過去問を解けば分かる。中1と中2は学年に対応した模擬試験を受ければ分かる。違いが分からない人というのは、定期テストと入試問(模擬試験)の、どちらも解けない人だ。「入試対策」は「定期テスト」対策とは似て非なるモノなのだ。2〜3週間程度でなんとかなるようなモノではない。

特に数学に注意が必要だ。中学3年間の学習内容がまんべんなく出題されるのではない。関数、図形、証明が多く出題される。多くの人がつまづく分野だ。計算問題は「大問1」で少し出題されるだけだ。それも複数の公式を使う必要があったりするから、単純な計算問題はほとんどない。「大問1」をほぼ全問正解できない人は、その後の「大問2」から「大問5」も解けない。

英語も定期テストとは様相が全く違う。単純な単語の穴埋め問題やシンプルな和訳や英作文などは出題されない。英語長文から出題される。長文を正確に把握できなければ正解にたどり着けない。シンプルな問題は「大問1」のリスニングだけだ。配点が低く、これが出来ただけでは、どこにも入れない。

理科や社会も「一問一答」に正解できるだけでは得点できない。しかも、「一問一答」ができないようだと、もっと得点できない。単純暗記では太刀打ちできないのだ。出題範囲全体を正確に「理解」できていなければならない。しかも「思考力」が必要だ。

近年、都立トップ校の志願者倍率が低下傾向にある。5教科オール「5」でも不合格者が大量に出るため、敬遠され始めたのだ。実技教科の換算倍率が2倍になってから、拍車がかかっている。5教科のみ極端に強い生徒は難関私立へ、そこまで自信がない生徒は志望校を一つ下げる傾向にある。

また、都立推薦入試の志願者倍率も低下傾向だ。集団討論・グループ面接・作文といった推薦入試対策に取り組んでも、報われない人が大量に出ることが分かってきたためだ。時間と費用が無駄になるばかりか、一般入試の対策が十分できなくなり不利になるなのだ。一般入試に専念しないと合格が危ういからだ。都立推薦対策に時間をかけるより、一般入試や併願私立の対策をしっかりした方が賢明な選択だ。

余談だが、都立進学校に推薦で合格した人が、高校入学後に成績不振に陥る人が多いことも問題になっている。大学入試で敗退することになる。一般入試対策に力を入れ、学力を磨いた人に比べ、真の学力が圧倒的に不足するのだ。これも内申に胡坐をかいたことの落とし穴だ。推薦入試は内申(報告書)が重要になる。難関大学に推薦で合格した人と同じだ。入学後に授業についていけず、留年や中退する人が多い。これも真の学力不足が原因だ。

話は戻るが、上位校や中位校も安泰ではない。トップ校や二番手・三番手の進学校の志願者が確実な合格を目指して、志望校を下げてきている様子が見て取れる。その玉突き現象で上位校や中位校の一部も倍率が上がっている。上位校では文京高校や上野高校、中位校では広尾高校などがその例だ。文京や上野は、いわゆる国立大学合格を目指す特進クラス設置の影響もある。進学校で常に成績下位に甘んじ劣等感と闘うより、特進クラスで意欲的に勉学に励み、大学入試で下剋上勝利を目指すという選択を含めた判断だ。広尾は国立や難関私立合格を目指すには、発射台としての位置が低すぎる。進学校とは違い、大学に進学しない(できない)人の比率も高い。学習環境もそれなりになる。しかし、上位校にスレスレで合格して落ちこぼれても結果は同じだとの判断から、あるいはそこまで考えずに、都立普通科の合格を第一目的として純粋な玉突きを起こしている可能性がある。

・オール「3」は明らかに学力低位層だ。
・オール「4」でも「平均より、わずかに上」なくらいだ。
・オール「5」でも安泰ではない。

「5」は相対評価時代は7%だった。今は15%くらいが取れる。以前より簡単に「5」が取れる。だから「5」の中にも大きな学力差があるのだ。模擬試験で偏差値65前後以上が取れないなら、「なんちゃってオール5」だと思った方が賢明だ。進学校入試で失敗する。入試問題を自校作成するトップ校なら、なおさらだ。定期テストで満点取れるような人でも正解できない問題が多いからだ。「なんちゃって5」や「4」だと合格点に達しない。トップ校からすれば、本物の「5」に入学してもらいたいのだ。内申素点なら余裕かつ不動の「5」だ。イメージ的には「6」相当だ。

これが現実だ。都立高校受験をするなら知っておかなければならない。

しかも、都内で私立中学などに通う生徒の比率は全体で約16.4%だ。成績優秀(「5」や「4」)な層を中心に抜けていると考えられるから、都内公立中学の「5」と「4」の比率である約37.3%と合計すると、公立と私立・国立の合計では、「5」と「4」の比率は約54%になる。

大学進学率が40%台だから、オール4でも大学進学は厳しい。少なくとも、まともな大学には入れない。公立中学で5教科の5の比率は平均で13.1%、私国立の生徒が別に16.4%いるから、5教科オール5でも国立大学合格は容易ではない。

つまり、保護者世代の5段階評価より、1ポイントほどインフレしていると考えた方が安全だ。

今の「5」=親世代の「4」
今の「4」=親世代の「3」
今の「3」=親世代の「2」
今の「2」=親世代の「1」
今の「1」=親世代の「0」・・不登校など

本当の学力は「偏差値」を参考にするしかない。数字は嘘をつくが、数学は嘘をつかない。

 

 

三田学院

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