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2016年08月23日 火曜日 能力の低い人は自分を「過大評価」する     ( スタッフ日記 )

東京大学の池谷教授が紹介する脳科学者ダニング博士とクルーガー博士の研究(注1)が面白い。

・成績『下位』25%以内の人は、平均して「成績上位40%程度にいる」と自分を『過大評価』した。
・成績『上位』25%以内の人は、平均して「成績上位30%程度にいる」と自分を『過小評価』した。

理由は簡単です。

・能力の低い人は、自分の能力レベルを正しく評価できない。
・能力の低い人は、他人の能力レベルも正しく評価できない。
・このため、能力の低い人は、自分を『過大評価』し、他人を『過小評価』する

古くから「○○は、自分が○○だということを、自分では分からない」と言われていたので、それを科学的に実証研究しただけとも言えるが、この研究結果は学習塾の実務にも通じるので、とても驚いた。

初めて模擬試験を受ける「児童・生徒とその保護者」(注2)に試験前に予想偏差値(注3・4)を聞くようにしている。そして実際の試験結果と照合すると興味深い傾向が現れる。

・実測の偏差値50未満では、事前予想で10〜20ポイント『過大評価』する傾向がある。
・実測の偏差値50〜60では、事前予想での『過大評価』が平均で10ポイント未満に収まる。
・実測の偏差値61以上では、事前予想を平均すると『過大評価』がほぼ見られない。

個人差はかなりあるが、傾向がよく表れている。特に実測偏差値45前未満では『過大評価』はほぼ共通した傾向だ。実測偏差値40未満では、その『過大評価』のバラツキ具合(標準偏差)がさらに大きくなる。

ただし、実測偏差値50を超えても自己を『過大評価』する人がいて、『過大評価』は必ずしも低学力特有の現象とは言い切れない。むしろ、『学力上位』で顕著に減少する傾向と考えた方が良いかもしれない。

つまり、「能力の高い人ほど自分や他人を『適性に評価』する能力がある」ということだ。

学力普通の人と学力低位の人が自分を『過大評価』する傾向があると言えよう。

Q:学力不振の人が、真摯に勉学に励もうとしないのはなぜか。
Q:学力不振の人が、原因が何かを認識できないのはなぜか。

といったことへの示唆にも富んでいる。

この研究には、さらに面白いオチがある。

この研究結果の説明を受けた人の多くが、『自分を過大評価』をしているかもしれない自分ではなく、『自分を過大評価』していそうな他人を連想するということだ。

『能力の低い人』は自分を『過大評価』する。脳科学の進歩が新しい知見をもたらしてくれる。

この『過大評価』=『妄想』は、ほとんどの人が入塾後6ヵ月もすれば、ほぼ解消する。日々の学習と小テスト・確認テストなどで、正確な『自己評価』ができるようになるからだ。正確な自己評価できるようになるのと並行して、学力も向上して行く。

ただし、残念ながら『妄想癖』の強い人(児童・生徒、保護者)は例外だ。執拗に自分を『過大評価』しつづけ、他人を『過小評価』し、『現実世界』と乖離したままの『妄想世界』を生き続ける。

自分を『過大評価』しているので、他人のアドバイスに真摯に耳を傾けることができず、また指導に従うこともできない。

そして、結果が出ないのは「自分の責任ではなく学習塾の責任だ」と思い込む。他の多くの児童・生徒が、順調に成績を伸ばしている事実を認めることができないのだ。

注1)出典:http://gendai.ismedia.jp/articles/-/47416
注2)保護者と共同で予想してもらうことがあります。
注3)合格できそうだと思った学校から値を推定することがあります。
注4)標本の変化により傾向が変わる可能性があります。

 

 

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